起業して2年目を終えました。いよいよ3期目に突入なので、思いの丈を綴る。

なべわかしです。普段は渋谷でIT企業の社長をしています。

本日4/10はなんと会社の2周年。

得意先の企業の方に祝ってもらえてハッとする、なんとも恥ずかしい気づき方をしてしまいました。笑

現在は世界で猛威を振るう新型コロナの影響でたくさんの企業の存続が危ぶまれる中、ここまで闘志を絶やさずやってこれたことに、得も言われぬ感情が渦巻いております。

弊社は幸い影響を受けにくい業種だったため壊滅的被害を免れたものの、世の中には助けを必要としている事業者さん、個人がたくさんいらっしゃいます。

そんな方の一助となるよう、毎日社を上げてサポートさせて頂いております。

1日も早くこのコロナ騒動が完結し、日常が帰ってくることを祈っております、、

 

ここからは2周年の間どういう苦悩があったのかについて、諸々綴っておいておこうと思います。

起業家2年生の終わりのリアルの読み物として参考にしてください。

始まりは受託開発から

なべわかしの会社は受託開発からスタートしました。

フロントエンドが書ける(とは言っても駆け出しのペーペーだった頃)と、バックエンドが書ける相棒とともに「稼ごう!」と勢いで作った会社でした。

勤めた会社も半年で退社していたため、自分には起業という選択肢しかなかったわけです。

滑り出しは順調、案件も取れていて2人で食べていくには十分な売り上げでした。

 

起業1ヶ月目、夢や希望にキラキラしていました。

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とはいうものの、オフィスなんて呼べる環境なんてのはなく、狭い部屋に男2人のスーパー劣悪環境。しかもMacBook Air初期PCなのでもう環境はクソでした、、

 

黒子に徹する苦しみ、世に価値を生み出したいという欲求

しかし、受託を続けていると毎日がある意味ルーティン化してきます。

迫りくる納期、こなしても守秘義務で実績とならない案件、何より誰かのサービスを作り続けるということ。

それが本当に悔しくて、自分よりも若い優秀な起業家が次々に現れてくるのが悔しくて、自分たちのプロダクトを作りたい!となったわけです。

悔しくてTwitterを開くのが鬱でした。

 

起業4ヶ月、受託を辞めプロダクト作りをする決意

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なんでなべわかしが他の起業家を見てこんなに悔しがるのかと言うと、学生時代から起業家をやっていたので界隈に知り合いが多く、、

後輩が頑張っているのが嫌でも目に入るという状態だったのです。

過去の奮闘記も丁寧に書いてますね、過去の自分。

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悔しさで胸がいっぱいだったわけです。

 

自称投資家に翻弄され、資金がピンチ

自分たちのプロダクトをつくりたい!と思い立ってから、色々な投資家を回り始めました。

受託を止めて開発に専念するためにはある程度資金が必要だったからです。

 

そんな中、幸先よく「お金出すよ」「いつ欲しいの?準備できるから」といってくれる投資家に出会いました。

この頃はお金を出すという言葉に安心しきって、疑うということをしませんでした。

開発に全振りして1ヶ月、2ヶ月と過ぎていく中でやたらと資料だけだして、「調整中だから」「時間がかかるから」という理由でどんどん時間だけが過ぎていきました。

その結果、3ヶ月経っても全然進展がなく、沸を切らした私たちは思い切ってその方の周辺人物にヒアリングしていくと、その方は実際にお金を出すわけではなく周りにお金持ちの方がいて、その方が投資をするという一種のVC(ベンチャーキャピタル)みたいな立ち回りをしていたのです。

ついに4ヶ月経った時に、待ちきれず本当の投資家さんの連絡先を知ったので突撃してみると「そんな話知らない」と一蹴されました。

4ヶ月受託を止めて開発に全部注力してきたのに、投資が実質全部白紙だったのです。

自称投資家に翻弄されたわけですね、これは辛かったです。

人を見抜く目がゴミカスだった、自分の未熟さを呪いました。

 

その後、資金ショート寸前だったのでVCをめぐり、幸いプロダクトはもうできていたのですぐに投資が決まり難を逃れました。

その時のVCさんには感謝です。ちなみに投資自体は3-5分で決めて頂きました、即決すぎてこちらがむしろ圧倒されました。

 

偉そうな肩書をもっていたり、ある程度の地位のある人間の言葉を聞くと「そうなんだ!信じよう!」となってしまいますが、今では全てを疑って客観的に状況を見極めるというのを欠かさないようにしています。

いい話をしてくるやつはだいたい信じられません。拒否反応が起こります。

 

苦節約半年を経てローンチしたプロダクトが大炎上

そんなこんなで資金ショートを免れた自分達は毎日夜遅くまでコードを書き、ついにプロダクトを完成させました。

会社を辞めて独学で学んだプログラミングで、わからないこともたくさんあった中で何とかフロントを作り上げ、バックエンド側と連携し一つ何かを作り上げたときは達成感でなきそうになりました。

まさに、自分の子どもを生んだような感覚でした。

 

満を持してプロダクト2019年にローンチしました。

最初の市場の反応は上々、こういったサービスが欲しかったという声も聞かれて徐々にコアユーザーを囲って行けていました。

 

ローンチ数カ月後には大手の会社に導入の話が決まり、自分達のプロダクトの導入の話が決まり、「これは一気に拡大のチャンスだ!」とGOサインを出しました。

しかし、この判断をするにはあまりにもプロダクト的にも、社内の体制的にも早すぎました。

 

具体的なことは割愛しますが、

  • プロダクトの本当の理念が伝わならなかった
  • サービスの機能が悪用された(嫌がらせ)
  • アクセスが大きくなってから気付いたバグ
  • チキってカスタマー対応を間違えた
  • 何よりマーケティングが下手すぎた

 

振り返れば反省点しかないのですが、とにかくサービスが大炎上しました。

Twitterのトレンドでも第2位に入るほど燃えました。最悪の形でプロダクト名が全国区になったわけです。

プロダクトが燃えれば、当然実名顔出しでTwitterでやっていた自分も批判にさらされました。

我が子同然のプロダクトがあることないことで叩かれ、社長である自分にももちろん批判が及びました。

そこからの数日は毎日24時間対応に追われ、生きている心地はしませんでした。

「なんで挑戦なんかしたんだろう」と眠ろうとする度に、炎上の批判が脳裏に蘇り後悔する日々でした。

 

何度もクローズ&倒産を考えた

炎上後、何度もサービスを閉じることを考えました。

もちろんサービスを諦めるということは、倒産を意味します。

自分たちの会社はこのサービスに全振りしていたので、他に収益の手段もなかったわけです。

気にしないでいいですよ!

まだがんばりましょう!

と言ってくれる人の声も虚しく、起業家の心が折れた時、会社は、サービスは死にます。

正直なところお金は投資家にプレゼンして、価値を説けばどこかがきっと出してくれたのですが心が完全に死んでました。

 

投資家、関係者からの期待そしてプレッシャー

自分のお金で起業して失敗だったならば、「あ~あ~失敗したな」で終わりです。

しかし、自分達のサービスは急成長を期待され、会社として大きくなる期待を託されてできた会社です。

「もうできません」と諦めることは、腸がねじ切れるかと、胃から血が出そうなくらい申し訳ないわけです。死んでお詫びしますとかそんなレベルなわけです。

最近どう?なんかあったら言ってね。

正直その言葉すらきつかった。

もう消えていなくなってしまいたかったです。転職サイトにも登録して、もう一回サラリーマンに戻ろうとも思いました。

投資家、ユーザー、関係者、起業家仲間、そしてメンバーですらも全員が敵に見えてしまっていました。弱みを見せることもできないし、四面楚歌の極み。

 

それぐらいもう、無理だとなっていました。(これ知ってるの本当に一握りの人です。)

 

応援してくれる人、プロダクトを愛してくれる人の存在

ここまで心が死んでいた自分を奮い立たせたのは、

応援してくれる人、そしてプロダクトを愛してくれる人の存在でした。

最近サービスどうですか?

使ってますけど、この機能がほしいです。

「ああ、このサービスはまだ需要があるんだ」

一筋のかすかな希望みたいなものがギリギリ自分をつなぎとめていました。

 

応援のみならず実際に投資してくれる方もいました。

もう一生そちらに足を向けて寝られません。本当に感謝しかできないです。

 

そして、なにより一番大きかったのはプロダクトを愛して、自分でいいサービスにリファクタリングしたい!と大炎上の翌月に入社してくれる社員の存在でした。

大炎上して倒産直前の、社長の心が折れかけてどう考えても負け犬の会社に、「倒産してでもこのサービスの開発をやりたい」と入ってきた社員がいました。

この人がいなければ今の自分はありません。

今頃どこかの会社で、あるいはバイトか何かで気の抜けた生活を淡々と送っていたかもしれません。

人生は本当に紙一重だなと思います。

一緒にプロダクトを信じて開発してくれる仲間の存在

一緒にプロダクトを信じて開発してくれる社員が入社したことで、守るべきものができました。そんな感覚が一番しっくりきます。

サービスが軌道に乗るまで、お金周りは自分でなんとかする。そんな決意を胸にしました。

調達も頑張る、が、理想だけを追い求めていても死ねば意味がない。

金になる事業なら何でもやる、泥臭くてもこのメンバーが死ねばもう二度と一緒に事業をできない。

なんとしてでも生き残ってやる。

生き残りに重きを置きすぎて、受託を受けすぎて逆に社員に無理させすぎてしまうという完全なる自分のマネジメントミスがあったりもして、このときは本当に申し訳なかった。

 

投資家にもたくさん会いました。

炎上というハンデがあったため、最後の最後で契約しないと全てひっくり返されたこともありました。

資料提出後に、いきなり音信不通になる投資家もいました。

でも、それでもなんとかするんだとスタートアップの業界を、投資家の業界を駆け回っていました。

自分達を信じてくれる投資家との出会い

毎日が戦いでしたが、ある日とある投資家の紹介で、運命的な出会いをします。

今の既存株主さんなのですが、その投資家さんと出会ったことで会社の運命が大きく動き始めました。

事業を評価して頂き、投資が決まったのです。

この瞬間はめちゃくちゃ嬉しかったです。

 

風前の灯火だった自分達の事業に再度命を吹き込んで頂けました。

一気に色々と肩の荷が下りて、頭の中がクリアになりました。

 

メンタルブロックがかかっていて、普段の10倍は頭が動かなかった状態が一気に溶けて、希望が一気に差し込む感じ。

お金があれば、また事業できる。頑張れる。

 

そんな感じでした。

Twitterの1通のリプライから始まった奇跡

毎日プロダクトの改善や、マーケティングを1から行っていたところ、先のコロナの影響で損害を被っているイベント事業者がいるとTwitterで情報が回ってきました。

そこで、その事業者に弊社のプロダクトで貢献できます!とリプライを送ってみました。

何百件ものリプライが飛んでたので、弊社のプロダクトが目にとまるわけもなかったのですがとにかく行動だと思い、サービス無料開放でリプライを飛ばしました。

 

すると、ものの数分でそのサービスいいね、ぜひ使いたい。

と詳細を聞かれ、あれよあれよというまに導入が決まりました。

 

Twitterでリプライを送ってからものの2日で全ての導入の座組も整い、実際にイベントで導入され今度は全国区で「素晴らしいサービス」として認知されるように至ったのです。

この時に本当にマーケティングは大事だな、行動が全てだと感じました。

 

このリプライがなければピボットしていた可能性が高いです。大炎上からずっと、毎日地道に改善を重ねた結果今に繋がったのだと思うと、続けてよかったと心から思えました。

 

実はこの時も、今マーケティング担当の弊社の役員の助言がなければ、このリプライはなかったかもしれません。

彼の後押しがなければ今の急進は絶対になかったと思います。

 

認知が広まりプロダクトが急成長

現在、未だに一部界隈では炎上のダメージがあるものの、それを払拭するぐらいのいいイメージも伴ってきています。

少しでも気を抜けば、またプロダクトが批判を浴びるのでアップデートを続けなければなりませんが、とてもやりがいを感じています。

 

世の中のサービスの殆どは知られることなく、その生を終えていきます。

認知を取れていることはやはりありがたいなと思っており、サービスの良いフィードバックも悪いフィードバックも両方返ってきます。

フィードバックが合って初めてというよりも、利用者がいて初めてサービスは成立します。いつも使ってくれてありがとうございます。感謝しかないです。

 

認知がなければ、完全に存在していないのと同じ。

これほど悲しいことはないです。

 

ヒトに投資を続ける

弊社は今回の一件で、サービスは一瞬で何がトリガーで一瞬で消し飛ぶかわからないと言うことを学びました。

ですので、弊社は

競争源泉、競合優位性となりうるヒト

とにかく人材に投資を続けていきたいと思っています。

それはお金だけではなく、自分の持ちうる知識や経験はもちろんのこと、大舞台や商談など幅広い経験をさせるべく積極的に活躍の場所を与えるという意味での投資です。

企業が生き残るためには、本当に苦しいときに幅広い知識や経験をフル動員して、その場をなんとかできる人材をいかに揃えるかだと思います。

とにかく弊社ではヒトを育てる、一緒に成長することを念頭に置いて挑戦を続けていきます。

 

信念を持ち諦めないこと、信念が折れたら負け

さて、思いの丈を書いていたら長くなりました。

こんなに長くなるとは思ってませんでした。1000文字くらいにしようと思ってたのに。

 

と、こんな感じで駆け足で書いてきましたが、2周年おめでとう自分。

ようやくスタート地点って感じですが、なんとか勝負になりそうなカードが見えてきた3期目です。

 

信念を持ち続け、あきらめないこと。

会社が倒産するのはお金が尽きたときでも、サービスが失敗したときでも、誰かに裏切られたときでもない。

信念が折れた時点で負け。

起業家さえ死ななければ、打席に立ってバットさえ振り続ける胆力さえあればなんとかなるものです。

 

メンバーのみんなはこれからもよろしく。

絶対に世の中に価値あるサービスを生み出し続けて、自分達にしかできないそんな最高の旅をこれからもしていきましょう。

 

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