大学2年生がビジネスコンテストから人材系で起業した話(後編)

【大学2年生がビジネスコンテストから人材系で起業した話(前編)】の続きです。

辛くて辞めたくなった営業時代

学生起業の世界は甘くない、と言われているのは知っていましたが営業の時ほどそれを痛感したことはなかったです。

そんな営業時代のお話をしたいと思います。

有給インターンシップの事業を営む私たちは「インターンシップ受入れ先の企業」と「インターンシップに参加する学生」の両方にアプローチする必要がありました。

そして、アプローチをするために学生と企業両方に営業をかけるのですが、それが大変でした。

辛かった学生営業

まずは学生営業の辛さから。

今ならWantedlyだとかインターンに関心のある学生のグループが多々ある中で集めることは比較的容易になりましたが、当時はそういう便利なサービスはありませんでした。

学生集めはとにかくオフライン!頭悪いですね。

大学に直接行ってもん前でビラ配りです。ひたすら。あとはナンパしてイベント開いてひたすらリスト取りをしていました。

 

インターンを広めるためのイベントも開催していたので、それの集客も兼ねているわけです。

ですから、学生をなんとか集めないといけない。背に腹は変えられないのでとある大学のサークル棟や部活棟を据えて回って一つ一つお願いしたこともありました。

これだけやれば反応あるだろうと思っていましたが、なんと誰も反応しない

 

それどころか「あーどうぞ勝手にやってください」「金くれるんですか?」やら冷たい反応しか返ってこないんですよね。

辛い。

 

いや、わかってたけどここまでみんな冷たいか。

同学年に頭を下げてもこんな冷たい反応しかされないんだな、とほほ。

 

やっててかなりメンタルにきましたね。

この時は本当に気持ちも沈んでいました。イベントの集客もできていない、インターンに興味のある学生も集まらない、時に冷たい言葉を浴びせられる。

毎日胃が痛かったですが、そしてさらに法人営業もあったのです。

泣きっ面に蜂の法人営業

さて、学生営業でメンタルがやられていますがインターン受入れ先の企業も営業していかねばなりません。

テレアポしたり、メールを送ったりしてようやくの思いでアポとってオフィスまで行くわけです。

オフィスに入るときなんかは最高に緊張しました。

資料内容を全て話せるか、物怖じせずに自分を通せるか、何よりサービスに魅力を感じてもらえるか。

 

学生起業は仲良しこよしのサークル営業やバイトとは違います。

文字どおりサービスが否定されれば自分が否定されるかのような気分に陥ります。

 

一番辛かった法人営業のエピソードをお話ししましょう。

営業でクロージングまで持って行こうと話を始めた2分後

「ねえ、こんなことしてないでさ、ウチ来ない?」

「慶應なら今からウチで働きなよ、起業なんかやめてさ」

 

これは言い返せなかった自分の悔しさと憤りでかなり印象的な思い出になっています。

インターン受入れ先を探す企業の人間がインターンに引き入れられる、なんてのは屈辱以外の何物でもなかったです。

 

ですが仕方なかった、本当に実力がなかった私が未熟だっただけの話です。

学生起業だからと言って甘やかされるなんてことは絶対にありません。

この時期はいつどうやって辞めようか本気で考えていました。完全に病み始めでした。

上がらない成果

あとは報告の義務が1カ月に2回ありました。

成果報告ですね。

起業とはいえ、後ろについている企業にどれくらいの成果が上がっているのか、何に取り組んでいるのか、今後の方向性などを報告する定例MTGがありました。

この時の心情は「申し訳ない」

という心情が大部分を占めていました。

期待に応えられない焦りと、成果を上げないといけないというプレッシャー毎日何かに押しつぶされそうになっていました。

6人いた仲間が実質4人に

起業をしてから3ヶ月くらい経った頃、私たちのメンバー数人の動きが鈍くなりました。

当初6人で始めた時3年生が3人いたので、起業していたものの就活を意識していたメンバーでした。

 

彼らは就活の合間を縫って、起業をしていたのでかなり忙しい身だったのです。

その結果一人は継続できずにやめることに、一人はほとんど連絡の取れない幽霊社員のような存在になってしまい内部組織の維持がめちゃくちゃになっていました。

6人で進めるはずのものが4人になるわけですから、やることが増えます。

 

寝る時間も惜しんでイベントの準備を行ったり、作業するのはざらにありました。

学生起業なので、一応大学に行かないといけなかったので。

無理がたたって初イベントでぶっ倒れる

トークだけはうまくてイベントの司会を任されたのですが(というか喋るだけが取り柄笑)だったので、イベントの司会進行を任されていました。

前日に抜けたメンバーの作業も埋め合わせて寝ずに作業して、イベントを遂行したのですがそれがまずかった。

イベントの冒頭でぶっ倒れました笑

身内も何人かいたので超恥ずかしい。

 

結局代役が慌ててカバーしたものの、進行役の私がスクリプトを覚えていて共有できていなかったのでチグハグなイベントになってしまいました。

「ああ、ちゃんと健康な体を維持してなかったな。」

という後悔と悔しさが一気に噴き出した瞬間でした。

幸い外部の企業様はいなかったので良かったものの、出資元の企業の監査役から「あのイベントはなんだ」「それでも起業か」と怒鳴られる始末。

再起不能になるかな、っていうぐらい落ち込みました、ここが一番のどん底です。

ターニングポイントとなった就活イベント

起業辛すぎてやめたい、自分なんて才能がなかった、就職しよう。

と完全にメンタルダウンしてた私は起業仲間と就活イベントに参加して就職を考え始めていました。

そこに来ていた学生たちが、私に光明をもたらしてくれることになるとはつゆにも想像していませんでした。

 

そこに来ていた学生は同じ人材系で起業していた学生と、専門学校の学生で話しているうちに仲良くなりました。

3人で飲みに行くこととなり、話していると盛り上がりなぜ彼が人材系で起業したのかという話を聞くことができました。

「安くバイトで買い叩かれてる優秀な学生にもっといい経験を提供したい」

この時に自分の中で電撃が走りました。

「これや、これが自分に足りなかったものや!!」と。

 

理念

 

漢字二文字で表現するとそれほど重要性は感じませんが、その時になぜあれほど企業が理念を大切にするのか、なぜ理念を必要とするのかを本当の意味で理解したのです。

なぜ起業しようと思ったのか、起業して実現したいことは何か

これを初心にかえり、取り戻したのです。

さらにもう一ついいことがあり、その場にいた専門学生の子が専門学校で講演会を取り付けてくれるというのです。

「優秀でスキルがあるが、バイトで時間を切り売りしているような学生が専門学校生に多い」から講演してみてはどうかと。

この日がなければ、起業を諦めていたでしょう。

簡単にやめて、何も世界に価値を生み出せなかった意識高い系(笑)できっと終わっていました。

 

この2人には感謝しています。

専門学校で講演会

初心を取り戻した私は怖いものなしで事業を突き進めていきました。

以下の写真は専門学校生200人の前で講演会をさせていただいた時のものです。

▼専門学校での講演会

semminer at univ

自分のやってる事業が、いいものだと色々ふっ切り突き進みました。

 

あれほど嫌だった学生営業もノリノリでこなすようになりました。

固い感じの営業からフランクリーな営業まで幅広くこなすようになりました。

▼渋谷で学生営業

shibuya-promotion

理念を持って自分が楽しそうにやることが何事も重要なのだと。

ポジティブな思考こそが最良なのだと、突き進みました。

企業5社学生100人の大型マッチングイベント開催

最初は閑古鳥が鳴いていたイベントも気づくと100人の学生が集まるイベントに成長していました。

ぶっ倒れることがないよう、皆でリスクヘッジをしながら私が司会進行を務める徹底ぶりで各々の役割も明確で「組織」というものを感じました。

▼企業5社学生100人の大型マッチングイベント

100students-events

▼最終発表全体写真

100students-events1

いつの間にか誰かのためにという思いに

正直に告白すると、起業当初は自分がお金を稼ぎたい。

自分のスキルをつけたい、面白そうだから。

という理由で事業を行っていて、モチベーションが続かず苦しい思いをたくさんしました。

サークルや学校の友人との遊びもすべて捨てて、起業を選択したのですから毎日が戦いでした。

相談できる友人も一握りで、抱え込んでプライドが高い人間だったので自分で自分の首を絞めていたのです。

 

自分がやってることが誰かのためになっていると感じることができなければ、やはりキツいものがあります。

それを悟って、誰かの役に立っていると感じた時に自分は思いを吹っ切れたと思います。

 

起業をする時に稼ぎたいから、有名になりたいからで始めるのも否定はしませんしうまくいく人もいるとは思いますが、全員が全員うまくいくわけではないのです。

結果が出なければ、自己満足に過ぎずただの辛い苦行でしかないのです。

それでも学生起業は大きな財産になる

ここまでリアルな学生起業の話をしてきました。

主に辛い側面にスポットを当て続けて話をしてきました。

ですが、それでもチャンスがあるなら私は学生起業を勧めます。

 

学生起業は本当に辛いことも多いですが、やりきったとの達成感や誰かに価値をもたらすことのできた時の感覚というのは筆舌に尽くしがたいものがあります。

さらにはメンタルも相当強くなりますし、ビジネスマナーから何から何まで普通の学生よりもかなり密度の濃い経験ができると思います。

私たちの事業は結果的にメンバーの大部分が就職を選んだことと、残りのメンバーが他の起業に誘われてこちらに時間を割けなくなったことから事業を返却するという形になってしまったのですが、事業を営んだ結果多くの学生が自分のスキルをより発揮できる企業に有給インターンとして働くことができるようになりました。

今でも時々当時の学生と話をすると「あの時あなたのイベントに行ってよかった」「あの事業があったから今の自分がいる」と言ってもらったりすることがあり、「自分は少しでも世の中に価値を提供できたのだな」と心にしみる思いです。

最後に

学生起業には色々あります。

理不尽なことも、汚いことも、嫌なことも、辛いことも、嬉しいことも。

しかし、それら全てをひっくるめて最後にメンバーと「やっててよかった」と思える瞬間を迎えることができれば何より幸せで人生の宝物になります。

 

理念と覚悟があるなら飛び込んでみてください。

きっと続けていればやっててよかったと思える瞬間を味わうことができるはずです。

 

▼初の学生100人イベントの打ち上げにて

after-party

 

それでは。

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