日本の経済は成長しているのか?
皆さんは今の日本経済にどのような印象をお持ちでしょうか?
自分の周囲の環境や物価によって感じ方は色々あると思われますが、実際の日本の経済状況についてどこまで分かっているでしょうか。
給料が上がらないから不景気だ、アベノミクスが好景気だと言っているから好景気だと安易に判断してしまうのは早計です。
というわけでちょっと内閣府のデータ資料を参照して日本経済を見てみましょう。
内閣府の最新の四半期統計によれば、日本のGDP(国内総生産)は低下するというデータが出ており、今後はほぼ横ばいで変化していくようです。
近視眼的な視点をもってすれば日本の経済は下降傾向にあるとも言えそうですが、以下のデータ(民間のデータ)を参考に見てみると、ほぼ横ばいで日本のGDPは変化していることが読み取れます。
したがって長期的な目で見れば「日本の経済は停滞している」というのが正しそうでしょう。
厳密には日本の経済はGDPという指標にとどまらず、GNIなどといった複数の指標をもとに議論を進めるべきですが、今回の論点はそこではないので
「GDPが横ばいなので日本の経済は停滞気味なんだな」という理解でとどめておきましょう。
日本経済の成長の鍵はITにあり!?
さて、日本の経済をマクロ的に見た結果、「日本経済は停滞している」というのがわかりましたが、現在の日本において最も成長している分野、と最も成長していない分野は一体どこでしょうか。
停滞している経済の中においても伸びている分野とそうでない分野が存在するので、そこに着目してみることにします。
以下のデータを見て考えてみていただきたい。
少し古いデータですが、2001年〜2009年の間に創業された産業のうち
どれくらいその産業が成長したかを示す変化グラフです。
上記データを参照した結果、最も成長している分野は9.4ポイントから20.9ポイントの「情報通信業」と4.1ポイントから14.2ポイントの「宿泊業、飲食サービス業」
そして、成長していない分野は20.3ポイントから1.2ポイントの「建設業」ということがわかるでしょう。
成長している分野の情報通信業についてですが、「IT産業」「ICTセクター」とも呼ばれる領域で技術の進歩に伴い目覚ましい成長を遂げているのは私たちも実感できているはずです。近年の技術革新はめざましく、あらゆる新技術が次々に世に送り出されています。
一方で、成長していない分野の建設業についてですが成長を妨げている要因として「現在日本の人口が減少傾向にあり、需要が減少しつつある」そして、もう一つは「建設業が最もIT技術の導入化が進んでいない」この2点が大きな理由であるとされています。
後者の理由をもう少し深ぼってみると、建設業界はIT化が進んでいない、すなわちインターネット技術の浸透率が低いため、未だに作業効率が上がっていないことが大きな要因と予想されます。
最も成長している分野の技術の導入が進んでいない分野が一番成長していない、むしろ減退しているという現象が日本で起きているのです。
したがってこういったを課題を解決できや企業・サービスが生まれてくることが日本経済起死回生のチャンスだと言えます。
そして、そのチャンスを切り開く新技術が近年ビジネス界隈の茶の間を賑わしている。
その技術がIoTです。
日本経済の救世主IoT(Interest of Technology)
近年よく耳にするIoTとは一体どんな技術でしょうか?
IoTとは?
コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。
e-wordsより IoTとは?
e-wordsのIT用語辞典によると、上記のように定義されていますが、要するに全ての物体がインターネットと繋がることのできる技術です。
すべての物体がもしインターネットにつながったとしたら、というのを想像してみてください。
そのイメージのために世の中にある物体の数について考えてみましょう。
とある米国の企業によると、世界には15兆個もの種類の物体が存在するそうで、そのうちの僅か1%〜1.2%の物体がインターネットと繋がっているそうです。
IoT技術はこのパーセンテージを可能な限り押し上げることになるのです、想像できますか?
ソファーにも、冷蔵庫にも、家の鍵も、家の電灯に至るまでほぼすべてのものがインターネットに接続される未来がすぐそばまで来ているのです。
現在日本において情報通信産業の成長がめざましいというのは既出の通りですが、日本はかつてよりものづくりに強みを見出してきました。
その技術は世界に誇れるレベルであり、made in japanといえば誰もがその品質を疑うことはなかったのです。
もし仮にそのような物体とインターネットを繋ぐ「最強の技術IoT」と、ものづくりの歴史の中で培われてきた日本の「最高の技術」が組み合わされば間違いなく日本経済復興の起爆剤となるということは疑いの余地がありません。
これからの時代の日本は単に技術力一辺倒ではなく、こうした新技術と強みを掛け合わせて世界と戦っていくべきなのです。
IoTが一般化した社会
近い将来にIoTが我々の生活に浸透してくることはほぼ間違いないと言っていいでしょう。
IoTのある社会がイメージがまだ少しイメージしづらいということであれば、次のIoTが普及した世界に住むビジネスマンのストーリーを一読していただきたい。
寒い冬、一人暮らしのビジネスマンが仕事の帰路についた。
ふと馴染みのスーパーを横切るとより高精度なGPSを搭載したスマートホンが彼に安売りの情報を知らせてくれる。
さらにその情報のみならず、自宅の冷蔵庫の中に残っている食材のデータがIoT技術によって蓄積されているため、それに基づいて今晩の献立をお勧めしてくれる。
もうこれで今日の夕食の食材の買い出しに悩むことも時間をかけることもない。
帰宅し、家の前に差しかかると、電子IDがついたスマートホンを認証し自動で家の扉が開く。
外は寒かったが中に入ると暖かい、帰ってくる10分前から自動で暖房が部屋を暖めてくれたのだ。
いつも食事の前に風呂に入るのだが、気がきくことにもうお風呂も沸いている。
食材を所定の位置にセットして風呂に入って上がってくると、食事が調理されている。インターネットのレシピをもとに自動調理ロボットが料理をしてくれたみたいだ。
さて、イメージできたでしょうか?
このようにしてIoT技術は私たちの暮らしの中に深く入り込み、我々の生活を快適なものにしてくれるでしょう。
しかし、そうなってくると「IT」の定義はあまりにも広すぎて、的を得ないものとなってしまい、その結果「IT」という呼び名ではなく、それぞれの分野に応じた新しい名前ができる。
死語となるであろう「IT業界」というワード
ここまで日本の成長産業、そしてIoTという技術に着目してきましたが、
間違いなく今後日本経済が進展していくためにはICTセクターの進展、および他業界への介入なしには到底なし得ないことであることは明白です。
ゆえに建設業然り、飲食業界然り、今後はあらゆる分野に「IT」が浸透していく過程で、上記で触れたように新たな名前が新たに生まれる業界に対して付けられることになると思われます。
そして今まで漠然と「IT業界」としていた業界以外にも「IT」が浸透していくが故にこの「IT業界」という分類は消えていくだろうと予想される、もはや広すぎて領域を括り切れなくなるのです。
以前にも同様の例があり、、2000年頃に誰もがインターネットで繋がる社会を定義して「ユビキタス社会」という言葉が流行りましたが、今ではウィキペディア上でしかそのような言葉は目にせず、すっかりと死語と化してしまいました。
上記の例と同様に、20年後、今の就活生世代が子供を授かり親となった時、就活で入った業界を子供に尋ねられ「お父さんはな、IT業界を受けたのだぞ」と答えたとしましょう。
そうすると恐らくは、すでに「IT業界」という言葉はウィキペディア上の死語として存在し、「なにその業界」と子供に笑われる時代になっているかもしれません。
それほどまでに、「IT」が我々の生活の一部となる世界が迫っています。