当初の予定は20時間のバス移動
エジプトの最南端の都市アスワンから、シナイ半島に位置するダハブに移動するためバスを利用することにしました。
しかし、現地の人に聞くところによるとアスワンからダハブへの直通バスは存在しないらしく、アスワンからダハブに移動するためには一度アスワンからカイロに移動した後にバスをの乗り換えてダハブに向かう必要があるらしいとのこと。
アスワンからカイロまで11時間、カイロからダハブまで9時間を見積もっていればいいと言われたので20時間か、と思いつつも1日以内で移動できるならと思い覚悟を決めていました。
この時までは。
アスワンからカイロへの移動
アスワンからカイロへの移動は鉄道が一般的と言われていますが、前回電車で3時間以上待たされた経験が半トラウマになり、バスを選択しました。
値段にして120LE(約900円)
バスの車内はお世辞にも綺麗とは言えませんでしたが、900円だから文句は言うまいと気合いで我慢しました。
出発時刻は現地時間にして夜の8:30。
しかしこれもさすがはエジプトクオリティ。
出発は見事に9:30、さすが!
もう1時間程度では動じなくなりました。
何回か謎のストップを繰り返しつつも、アスワンからカイロへの移動はそれほど大きな障害もなくクリアできました。
4時間オーバーの15時間かかったけど。
あれ?当初の予定20時間でダハブなんだけどなあ、おかしいなあ…
魔境カイロのバスステーション
なんとかカイロのバスステーションに到着することができましたが、ここは魔境と呼ぶにふさわしい場所で日本人旅行者をたいそう苦しめてくれます。
その魔境が魔境たる所以を少しばかりご紹介しましょう。
①照明がやけに暗い
闇カジノみたいな雰囲気が漂ってて、バスを裁く人もみんななぜかギスギスしています。
人にものを聞ける雰囲気じゃない…
②全てがアラビア語で理解不能
バスのチケット、バスの案内表示、バスの業者、全てがアラビア語なので全く理解できません。
カタコトのアラビア語と、ボディランゲージを最大限に使用してようやくコミュニケーションできるというレベル。
なんとか生き残りたい…
③全てが外国人プライス
バスを待つ時間に買うお菓子や飲み物全ての値段が外国人用に高く設定されています。
水が100円ってそれ日本と同じだよ…(相場は14円くらい)
④バクシーシの嵐
バクシーシとは簡単に言ってしまえばチップのようなもので、イスラムには富めるものが貧しいものに施しを与えるのが美徳とされています。
子供達が集ってきやがり、大変です…
という感じに、滞在するだけでもかなり精神がやられる故に魔境なのです。
さてここで問題が起きます。
11:00にカイロに到着し、13:30発のバスチケットを魔境で購入したのでバスステーションで待つことにしました。
値段にして130LE(約920円)
2時間半も魔境にいると徐々に精神が病んでくるのですが、地球の歩き方を見て気を紛らわせたりしながら気合いで時間つぶし。
そうこうしている間に13:30になったのでバスのゲートへ。
私「このバスはダハブ行き?」
アラビアおじさん「10分後のバスだよ」
私「ありがとう」
10分後、それらしいバスが来たので再びゲートへ
私「このバス?」
アラビアおじさん「10分後のバスだよ」
私「わかった」
さらに10分後
私「このバ…」
アラビアおじさん「10分後のバスだよ」
もうええわ!!
バスいつくんねん!!!
電車に続きバスまで来ないとは…
ここまでくれば、もうなんとでもなれという気持ち。
ゲートの前でずっとバスを健気に待っていました。
そして10分後、ゲートに行くとおじさんがいません。
あれ?
慌ててチケットカウンターに行くと、
「このバスさっき行ったよ」
「ファ!?」
まさに虚をつかれた気持ち。
あんなに頻繁に確認したのにバスがもう行っただと!?
「いやでも、あのおじさんが待てっていうから!」
ひたすら交渉。
このままだとバスチケット代920円が無に帰してしまう…
とりあえずなんとか代わりのバスに乗れることに。
この時点で14:30。
これで一安心と思ったのは刹那、これもまだまだ序の口だったのです。
謎の乗り継ぎ
さて、ダハブまで寝るかと思って目を閉じていると1時間後に突然たたき起こされます。
なんだ!?と思うと、どうやら乗り継ぎらしいです。
眠い目をこすりながら次のバスを待つこと30分。
バスが到着。
しかし、席がない。
代わりのバスだから仕方ないとはいえ、悲しい。
あれ?これ席ないのは私が悪いのでしょうか?
アラビア語をちゃんとやっとけばこんなことにならなかったのか…笑
しかし、親切なおじいさんが席を空けてくれました。
(というか、おじいさん1人で2席占領していた。)
ここでもなんとかバスに乗ることができ、あとはダハブに着くまでの6時間を我慢すればいいと思っていました。
この時は。
度重なる検問の嵐
さて、エジプトのバスは暗く本も読むこともできずすることがないため、目をつむっていると
謎のアラビック音楽が大音量で響きます。
これは応える…
さっさと寝てしまおうとウトウトしていると検問タイムがやってきました。
以前からエジプトでは外国人旅行者は荷物検査をするために検問の度に降ろされるというのは聞いていましたが、まさか今このタイミングで来るとは。
外寒い。
そして、検問長い…
長い検問をくぐり抜け1時間ほどバスが走っていると、またバスが止まります。
なんだ?
と思っていると、
「降りろ」
また!?!?
検問です。
この後1時間おきにバスは停車し検問を受けます。
※後から聞いた話によると、シナイ半島ではゲリラが多発するため検問が強化されているとのこと。
それにしても厳重すぎる。
総計7回の検問。
もう検問なんて大っ嫌い。
そうこうしているうちに時間は刻々とすぎ、ダハブに着いたのは深夜の2時。
あれ?13:30発だったのに12時間くらいかかってない?
あはははははは。
ダハブでまさかの野宿
無事にダハブに着いたのはいいのですが、ここまでで既に27時間経過。
そして、最悪なことに到着したのは深夜の2時です。
そうです、もう宿閉まっているんです。
ホテルの客引きみたいなやつはいるんですが、顔が既にもう胡散臭い…
150LE(約1050円)でホテルまで送ってやるとか言ってくるのですが、高すぎる。
おまけにホテル空いてないと英語で説明しても、
「オーケー!マイフレンド!!」
とかしか言わない。
もうこれ朝まで野宿決めるしかない。
そう決意し、同じく降ろされたアルゼンチン人のおじさんと友人の3人で辛く険しい野宿が始まりました。
ダハブでの野宿
アフリカはあったかいと思われがちですが、実は寒暖差が激しく夜はかなり冷え込みます。
その上ハエや、蚊、野良犬などの強敵の襲撃に対応したり、現地の客引きに荷物を盗まれたりしないようにしながら休まなければなりません。
「交代で寝よう」
そう決めて野宿ルールを作ったのですが、
アルゼンチンおじさんと友人は、ソッコー寝落ち。
「そんな殺生な」
結局朝の6時の日の出までねれず、荷物番してました。
かつてないほどの疲労困憊
2月27日21:30に出発し、3月1日9:00にホテルに到着。
総計35時間の大移動。
これはさすがに応えました。
旅で今まで一番きつかったことは、と聞かれたら間違い無くこの35時間と答えるでしょう。
アスワンからダハブへ弾丸で移動しようと考えている方がもしいらっしゃれば、一度カイロで1泊してからダハブへ向かうことを確実にお勧めします。